つらい中よくがんばった。世論すべてが他球団を応援する中ほんとにがんばった。

余裕など微塵もなかったことが落合の涙に集約されていた。本当に阪神はすごかった。あの強さは異常だった。それなりの勝率を残しながらも減らないマジック。疲れの出ている投手陣。打っても打っても点を取られる最悪の展開。焦りを隠せないファン。そしてドラナイン。ただひたすら指揮官だけが平静を装った。平然と時には憮然と。感情を表さない監督に他球団のファンは苛立ち世間はミラクルとか奇跡とかいう言葉で中日のフロントに冷たい言葉を浴びせた。ドラファンでさえ「落合批判」を浴びせ、首位にいるにもかかわらず落合更迭すら叫ばれていた。決して選手を批判せず自分やフロントが悪いと責任を背負い込んだ。すべてを背負い込んだ監督は一番つらい立場にあったのであろう。それがすべて開放されたあの涙。ウッズも満塁HRで勝利を確信しそして涙。
さぞつらいシーズンだったろう。阪神の驚異的な追い上げがなければ九月半ばには決まってもおかしくない展開だったから。落合はまちがいなく痩せた。さぞ胃の痛い試合が続いたことだろう。並みの監督なら感情をあらわにしそれがチームの中の微妙な雰囲気を生み出してしまったところであろう。しかし落合はほんとうによく耐えた。選手がよくがんばったというのであれば、落合には「耐えた」がふさわしい言葉だろう。
ありがとう、そしておつかれさま。指揮官として素晴らしい手腕を発揮した落合に心からの賛辞を贈りたい。ほんとにおめでとう。